静岡方面本山巡り参拝の      平成24年4月19日〜20日
                                   檀家・泉澤慎吾記

今年で十八回を数える。低い雲に少々不安を感じつつも三十五名の団参一行元気に江川橋際を出発する。
午前七時湾岸から首都高速を経て東名高速へ向かう。レインボーブリッジから見る東京湾も雲でかすんでいる。
今年も楽しい旅になりそうだ。昨年は三.一一の大震災発生、止む無く中止となる。亡くなられた方々、
被災された方々に祈りを捧げ、復旧復興支援に経力する。車窓に時折水滴が光る。沼津インターから
富士の清流「柿田川湧水」を右に見て三島に入るが、生憎雲に遮られ雪化粧の残る富士山を眺めることが
出来ず残念。これからの天候に期待する。三島市玉澤の本山妙法華寺のお上人に迎えられ山門を入る。
日蓮聖人の直弟子六老僧の第一日昭上人によって約七百年前に開かれた。その後元和七年(一六二一)
この地に移転、徳川家康側室「養珠院お万の方」や「英勝院お勝」、全国の末寺八十余ヶ寺や徳川幕府が力を尽くした。
当時の建物は寛政三年(一七九一)の大火で鐘楼以外の伽藍が焼失してしまった。現在の建物は
百数年十年前の再建によるものが多く、今でも復興が続けられていると云う。鎌倉時代の
「日蓮聖人説法の図」を始め、国の重要文化財が多数宝物殿に納められているとのこと、貫首様の説明に聞き入る。
湛慶作の仁王像が名の如く仁王立ちに目を見張る。祖師堂にて一同行衣をまといお開帳が行われた。後、
茶菓のご接待を頂き庭に出る。庭園には四季折々の花が咲き、訪れる人々を和ませてくれ、菩提樹、
沙羅双樹等の聖樹が織りなす優雅な環境が広がっていた。庭の一角にある「日蓮聖人像」が団参一行を見送っていた。
再び沼津へ戻り昼食となる。沼津と言えばグルメの街、朝が早かったので駿河湾名物桜エビを始め、
海の幸が空腹を充してくれた。次の予定地、旧東海道沿いの遠州見附の本山、本立山玄妙寺を参拝する。
室町時代元中二年(一三八五)、日什上人によって建立された。毎年十一月十二日の御命講(お会式)には、
子育て安産鬼子母神の大祭も併せて行われ、十二日の夜は近郷近在からの参詣者で賑い、
小さな子育てぞうりが授けられ、我が子が丈夫に育つよう祈る若い夫婦が絶えない。日蓮聖人御尊像は
元和九年(一六二二)に開眼され、約四百年の時を経、多くの寺宝が玄妙寺の歴史を物語っている。
平成十七年十二回目の団参で訪れた会津若松の妙国寺とは関係が深く、日什上人の御廟所は妙国寺にある。
日蓮宗本山の奥深さを学んだ参詣であった。貫首様に見送られ山門を後にする。
明治五年学制発布に伴い開校された旧見附小学校を見学。当時浦安では寺小屋の時代。
現在まで解体や修理を重ね当時の面影を残し、学校教育の歩みを伝えている。昔懐かしい教科書や
石版が小学校時代を思い出し、暫し足を止める。校庭に置いてあった竹馬に乗り、童心に帰った一時であった。
一日目の行程も終り、舘山寺温泉「九重」にて旅装を解く。夕食前にクルーザーで浜名湖を一周。
一昨年訪れた北海道大沼の雄大なパノラマを思い出し乍ら、暮れゆく湖の景色を堪能する。一風呂浴びて楽しい
夕食タイム。今年で私を含めて三名が参加十回目と云う節目を迎えることが出来た。貞真上人より記念品を
頂戴する。達成感と感激で思い出に残る参拝旅行となった。夕食は期待通り山海の珍味に舌鼓、和やかな
懇親の席は夜の更けるまで続けられた。浜名湖のロープウェイが霧に霞む幻想的な朝を迎えた。朝食、
出発準備と慌しい一時、ロビーの舞台で爪弾く琴の調べに心が和む。小雨降る中を見送られて湖西市へ、
吉美の延兼山妙立寺を参拝。今を遡ること約六百年、至徳三年(一三八六)、日什上人の説法を聴き感動、
帰依した土地の豪族が、風光明美な水の郷湖西村に上人を招いたことが始まりと伝えられている。今川、徳川
両家の祈願寺であった為に寺領七十六石余りが寄進されてきた。総門、本堂、中門、鐘楼堂の建造物があり、中でも
総門は最も古く、寛文五年(一六六五)に再建されたものであり、型は四脚門、寺宝「紺紙銀界金字法華経」等、
数多くの重要文化財が国の指定を受けている。本堂にてお開帳が行われ合掌してお題目を唱える。
貫首様より縁起についてお話しを聞く。寺内には「トヨタ自動車」の祖、「豊田佐吉家」の墓所もあり、
「日什門流八別格本山」の一ヶ寺としての歴史を窺い知ることができた。雨も上り、時代が刻まれた長い石段を
下り山門をあとにする。再び一号線に乗り、浜松の「まつり会館」に立ち寄る。毎年五月の連休に行われる
「凧の糸切り合戦」、夜は「御殿屋台」が練り歩く伝統のまつりを伝えている。二日目の昼食、浜松といえば
「うなぎのひつまぶし」、江戸の蒲焼とは違った味を楽しみ満足、最後の休息となる。総ての行程を終え、
お土産も用意、帰り支度を整えるも、残念乍ら富士山に対面出来なかった事が心残り、次の機会に
期待し浜松を後に浦安へ。今回も由緒ある本山を参拝し、お題目を唱え、歴史を知り学ぶ事ができた。
これからも可能な限り参加して「日蓮聖人」の教えを心に刻み生きる糧としたい。そんな思いを巡らせている間に
夕暮れの江川橋に帰着し、充実した二日間が終わる。お世話になった団参一行に心から感謝して家路につく。合掌