栃木・会津参拝旅行記〜その3〜

宝光山妙国寺は、会津若松市に位置し、白虎隊自刃の悲話を伝える飯盛山を臨む地。
顕本法華宗の開祖、玄妙阿闍梨日什上人が生まれ、入寂した地に、高弟日仁上人が
明徳三年(一三九二)開創した寺院である。
又、妙国寺は白虎隊最初の埋葬地として知られている。飯盛山で自刃した白虎隊士の
遺体が野ざらしになっているのを不憫に思った当時の妙国寺の住職が夜な夜な家族と
共に墓地に運び埋葬し、手厚く供養した。現在の飯盛山に埋葬されたのは明治七年に
なってからである。御開帳の後、貫首様から戊辰戦争と妙国寺について
興味深いお話を聞き当時を偲ぶ事ができた。     
客殿にて頂いた自家製の漬物が大変おいしく、会津ならではの味であった。
総けやき造りの本堂、欄間の彫刻が見事。朝夕会津平野に梵鐘の音が響き人々に
安らぎをあたえている妙国寺を後に、白虎隊士の眠る飯盛山へ向かう。
白虎隊は、慶應四年(一八六八)、戊辰戦争の際に十五才〜十七才の少年たちで結成された。
戸の口原に出陣するも衆寡敵せず、飯盛山まで逃れてきたが、鶴ケ城に上る火の手を見て、
もはやこれまでと全員で自刃する。この時、一人だけ蘇生し一命を取り止めた飯沼貞吉によって、
後世にこの悲劇が伝えられるようになる。案内人の説明に胸が熱くなり、思わず涙したのは
私だけではない。お線香を手向け合掌して弔う。墓前にて信行会による詩吟が朗詠される。
題して「白虎隊」。参詣に訪れる人も静かに聞き入っていたのが印象的であった。その後、
ゆかりの場所をたずねながらゆるやかな坂を下る。
次いで、野口英世の生家を見学。保存状態が良いので二百年経た今も当時の姿が保たれている。
会津磐梯山、猪苗代湖の大自然に育まれた世界の野口英世の壮大なドラマがここから始まったのである。
午後三時半、すべての行程を終え会津に生きた人々の激動の歴史をふりかえりながら、帰途につく。(おわり)
 <文章 檀家・泉澤慎吾 いずみさわしんご>

  
妙国寺(会津若松市)                       白虎隊士墓前で吟詠